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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第2章 女中 良枝
( 回想 2 )
笠井が良枝を初めて抱いてから十日ほど経った日の夕刻、大学の研究室から戻ったばかりの笠井の部屋に、幸乃が来て 「今夜も良枝をお願いしたい。」 と請うた。
「わしは構わんが、その後、あの娘(こ)の様子はどうじゃ。」
「これまでと変わらず、よく下働きをしてくれています。体の調子も、大事ございませんでした。」
そのようなやり取りがあって、夕餉の後、当番の女中に代わって良枝が一人でお茶を持ってきた。笠井は、お茶を一口すすってから、良枝に、<夜具の支度をしてから、綿紬を脱ぐように>と求めた。良枝は、頬を赤らめ、恥ずかしそうな表情をしてはいたが、手際よく、「次の間」の押入れから「座敷」に布団を運び、敷き揃えてから、部屋の隅で足袋を脱ぎ、続いて帯を解いた。