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脳内妄想短編集
第3章 束縛愛

 ――もう何ヶ月も前から、この日に決行しようと決めていた。

「ねえ、トイレ行きたい。コンビニ寄っていい?」

 あたしは助手席に座る遙斗(はると)にそう声をかけた。深夜零時。二車線の国道はほとんどガラガラで、たまに対向車とすれ違う程度だった。

「どうぞー」

 遙斗は眠そうに目を擦りながら、頷いた。あたし達は今まで、カラオケにいた。遙斗と、理恵(りえ)と、忠(ただし)とあたしの四人で、夕方から騒いでいたのだ。全員あたしが迎えに行って、今送り届けているところだ。遙斗は一番最後。これも計画のうちだった。
 あたしは近くのコンビニで車を停めた。ちょっと待っててね、と声をかけ、店の中に向かう。用を足すふりをして、あたしは理恵に電話をかけた。
 一コールも鳴り終わらないうちに、彼女はすぐに出た。

「今、コンビニ。準備はできてる? これから薬、飲ませるからさ、多分四十分くらいで効いてくると思う。遙斗が眠ったら連絡する。すぐ出れるようにしておいてね」

 あたしは小声で淡々と話す。
 彼女が息を呑むのが、携帯越しにわかった。
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