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脳内妄想短編集
第3章 束縛愛
「……本当にするの? 犯罪になっちゃうんじゃ……」
「は? 何今さらビビってんの?」
あたしは苛立ち、思わず声を荒げそうになる。だけどここはコンビニのトイレ。二枚越しの扉の向こうに誰がいるとも限らない。あたしは軽く深呼吸をして気持ちを落ち着けた。
「とにかく、すぐ出れるように準備しておいて。バックレるなんて許さないから。……いい? あなたも共犯なの」
共犯という言葉を、彼女の脳に刻みつけるようにゆっくりと言う。
「杏子(きょうこ)ちゃ……」
あたしはそのまま通話を切った。
何事もなかったかのように、トイレを出てジュースを買う。温かい缶コーヒーを二本。ブラックと、砂糖入りのやつを買った。
あたしは店を出てすぐに砂糖入りのを開け、一口飲んだ。自分の車を横目で確認する。助手席に座り、彼は携帯をいじっていた。周りに人がいないのを確認し、車からコーヒーが死角になるよう体をひねり、あたしは素早くポケットに用意しておいた錠剤を一粒入れた。睡眠薬だ。
そうして車へと戻る。
「お待たせ」
「おかえりなさい」