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脳内妄想短編集
第3章 束縛愛
理恵の視線が、あたしに向く。
「どうして……? 杏子ちゃん、遙斗が好きなんでしょ?」
「うん、好きだよ」
なんの迷いもなく答えるあたしに、理恵は顔をしかめた。
「好きなのに、他の女にそんなことされるの、やじゃないの?」
「やだよ」
あたしは低くつぶやいた。
「遙斗はあたしのだもん。他の女には、指一本だって触らせたくない」
車のドアを開け、遙斗の頬を撫でる。こみ上げてくる愛しさは、純粋で、凶暴で、激しくもあって、憎悪にも似ていた。手が震える。
あたしは彼から手を離し、再び理恵を見た。穏やかな声を絞り出し、言う。
「……でも理恵ならいいよ。この計画に協力してくれたし、理恵は親友だから……特別。遙斗の体、触らせてあげる。ほら、好きにしていいよ」
車から引きずり出すと、意識のない遙斗の体は、どさりと地面に転がった。頭か顔か腕か、どこか打った音がしたけれど、それすらどうでもいいことのように思えた。
暗闇の中で、理恵がぴくっとなったのがわかる。
もう面倒くさい。この女。
理恵を見もせずに、あたしは命じた。
「遙斗を中に運ぶから、手伝って」