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脳内妄想短編集
第3章 束縛愛
「待ってたよ」
彼女に向かって微笑む。
理恵は体を硬直させ、立ちすくんでいた。黒づくめのいでたちの中、彼女の青白い顔だけが、闇の中でぼんやりと浮かび上がっていた。
「杏子ちゃん……」
何かを言いかけ、口をつぐむ。あたしは理恵に、こっちに来てと顎をしゃくってみせた。
理恵がためらいがちに、あたしのもとへと近づいてくる。
車の窓越しに、遙斗の姿を視界に捉えると、はっとしたように動きを止めた。
その顔が、恐怖に歪む。
「遙斗くん……」
手を口元に当て、わなわなと震え始めた理恵に、あたしは言った。
「大丈夫、よく眠ってるから。遙斗の体を縛っても、身じろぎ一つしなかったわ。さあ、遙斗を廃墟の中に連れていくの。理恵も手伝ってね」
理恵は体を震わせ遙斗に視線を向けたまま、何も答えられないようだった。
「そうしたら好きなことをさせてあげる。強姦でも、理恵が集めた動画みたいなことも、なんでも。今まで妄想でしかできなかったこと、全部できるのよ。嬉しいでしょう? 興奮するでしょう? 遙斗の体、好きにしていいんだよ」