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脳内妄想短編集
第3章 束縛愛

 彼女はこの計画に乗ると言った。まるでエッチな体験談を聞く時のように楽しげに、あたしの共犯になることを了承していた。
 だけど、彼女をあたしの家に呼び、ネットで購入した睡眠薬を見せると、彼女はようやく現実に返ったのか、初めて不安げな色を見せた。今まで妄想の中の話のようにどこかふわふわとしていたあたしの計画が、彼女の中でようやく現実味を帯びたのかもしれない。
 やっぱり怖いと逃げ腰になる彼女を、宥め、諭し、ようやくこの日にたどり着いたのだ。
 あと少し。ここで彼女にバックレられるわけにはいかない。
 あたしは自分の車に寄りかかり、短くなったタバコを、地面へと落とした。手入れのまったくされていない廃墟の敷地内は、雑草が酷かった。
 足で踏み消すのとほぼ一緒のタイミングで、一台の車がこちらにやってくるのが見えた。まばゆいライトの光に、あたしは片目をすがめる。彼女以外には、ありえなかった。
 車はあたしの隣に無造作に停まり、中から彼女が現れた。黒いズボンと黒いトレーナー。指定した通りの服装で、彼女はここへやってきた。
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