この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
脳内妄想短編集
第2章 水中レッスン
すっかり本来の目的を忘れそうになり、あたしはいったん彼から離れた。欲情が抑えられない。自分の連れにさえ、理性が吹き飛ぶほど欲情したことなんてほとんど無かったのに。
あたしは努めて明るく、今までの淫靡な雰囲気をかき消すように、聞いた。
「もう、大丈夫? 一人で潜ってみる? そばについててあげるから」
彼に触っていたら、本当に襲ってしまいそうだった。
彼はしばらく無言であたしを見ていた。うつむいて、何かを言いかけて口をつぐむ。
「キス……しててください」
勇気を振り絞るように、それだけ。
「……まだ、一人じゃ怖い?」
「……はい」
平静を装ってそう尋ねつつも、あたしの心臓はバクバクだった。
「いい、けど。ここであんまりしてると、他の人に見られちゃう」
今さらといえば今さらだけど、公共の場なのだしそこも気になった。
「水の中なら、バレないと思います」
珍しく、彼が食い下がる。あたしだって、彼の唇にもっと触れていたかった。欲情に茶色い瞳を潤ませてそんなふうに誘惑されれば、断ることなんてできるはずない。