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捥いだピンクの果実
第2章 二話 見合い 2
 見合いというちゃちほこばったのではなく食事会として逢いましょう。それでいいですか。断ることが前提だ。それで医大の先輩にメンツは保てるでしょう。秀樹いいやつだなといわれた。ふつうならありえない話だが秋葉乃は叔父がすきだ。それでいいならと気軽に引き受けた。見合いではない気軽な食事会だと思ったからか相手は奈々という名の娘を同伴させた。目鼻立ちははっきりし、背は低いが大人になったら可愛いより美しくなる。そんな娘だ。野暮ったい長い黒髪だけが余計だ。長い髪を切ったらそれだけで美しい。そんな少女に秋葉乃は心を惹かれた。見合い相手の女性はふつうの中年おばさんではなくきれいな人だった。自分が勤めてる医院の院長と不倫をしているのによく娘を連れてきたなと思ったが話が弾んだのか会話が盛り上がったのかどうかはわからない。しかし秋葉乃は同席した少女を強烈に意識した。見合い相手と席を入れたらこの娘の父親になれる。父親になったからどうなる。ロリコンではない。同居したら。非現実的な妄想だけが頭をよぎったのは事実だが断る。それを前提でこの話を引き受けたのだ。見合いという食事会はあっというまにおわった。
 その日のうちに秋葉乃は興信所に見合い相手の信用調査をした。叔父がいったように見合い相手は努めている院長と不倫をしているのは事実だった。秋葉乃は叔父を呼び出した。開口一番叔父はいう。
 「わるかったな。昨日飯食いにいってくれたんだって、これで俺のメンツが、まぁそんなことはいいか。ことわるのは俺からいっていいぞ」
 「いや、叔父さん、この話をまとめる方向に進みたいんですよ」
 「気に入ってしまったか。それとも他人の女を寝取る。オマエはそういう性癖か」叔父が甥っ子にいう言葉ではないが、これが叔父なのだ。
 「正直、めんどくさいんですよ。いろんなところから見合い話をもちかけられるのが、だからこの際訳アリの偽装結婚をしようかなと」
 「オマエおもしろいな。すきにしろ」
 秋葉乃は興信所から受け取った書類を手に見合い相手の務める病院に足を運んで院長と見合い相手に書類を見せた。ふたりともかたまったが、条件をだした。これを認めるなら籍を入れてもいい。ふたりの不倫もうわさで済むだろうと。その三日後に見合い相手から連絡があり、すべての条件をうけいれますと連絡があったので秋葉乃は決意した。
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