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やっと、逢えた
第3章 せめて、声だけでも
眠れない夜を過ごして、
気付いたら外が白々と明るくなり始めていた。


なんて言おうかを考えているだけで悶々としてしまう。

そして、少しうつらうつらしてしまうと、
浅い夢の中で、
俺は彼女に色々なことをして、
最後は…そこで目が覚める。




重い身体をなんとか起こして階下に降りると、
お館様がいつもの顔で、

「おや。
酷い顔をしているな。
彼女と逢えたら、
ここに連れて来なさい」と言った。


「えっ?」


「どんな娘か観たいから。
葵の話だと…。
いや、まあ、良い。
とにかく逢いたいから。
ああ。
そんな顔では話も出来ないだろう。
今日は病院は来なくて良いから、
身なりを整えて、
気持ちも整理したらサロンに行くと良い」




俺の返事も待たずに、
親父は優雅に立ち上がって出て行った。




身なりを整えて、
気持ちも整理ね?



取り敢えず、もう一眠りするか。



そう思って自室に戻った。


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