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やっと、逢えた
第3章 せめて、声だけでも
ハッと我に返って自分の席に戻ると、
彼女は思い掛けないことを言った。


「あの…。
お隣に座っても宜しいですか?」


「えっ?」


俺の返事を待たずに、
彼女は俺の隣に座る。

しかも、ただ隣に座るだけでなく、
肩と腕が密着する距離で座ると目を閉じてしまう。



それは、マズイ。
非常にヤバいよ。


心臓がバクバクしてるのが聴こえるかもしれないし、
何よりも俺の本能を制御出来なくなる。


「衝動を止められなくなるぞ」という親父の声が聴こえるような気がする。



それなのに、彼女は静かに、
なんていうか、スッと違う処に居るみたいに、
そのくせ物理的には静かに俺に寄り添っていた。


どれくらい時間が経ったのか判らないけど、
流れていたCDが終わっていて、
無音の世界になっていた。



血管が逆流するような激しい感情はいつの間にかなくなって、
俺は彼女の呼吸と同化するみたいに穏やかな気持ちになっていた。


すると彼女はもっと思い掛けないことを口にした。

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