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やっと、逢えた
第4章 触れるだけで

スタスタと一度部屋から出た葵は、
自分用のマグカップとカルテを手に戻って来た。
カルテを俺に渡して、
ポットから紅茶を注いで、
一口飲んで俺を見る。
「まだ、カルテは途中だけど」と言いながら、
彼女の話をし始めた。
葵の話によると、
彼女には少し変わった『能力』があるらしい、
それが本当のことなのか、
自分の思い過ごしなのか、
彼女自身もよく判らなくて戸惑ってもいる。
その『能力』は、
触れた人の肉体的な痛みや精神的な痛みを吸い取ってしまうというものではないかと、彼女はそう考えていた。
だから、混み合った電車なんかでたまたま身体を接してしまった人が物凄く状態が悪いと、
服越しでもかなりダメージを受けてしまう。
暑い季節で肌が直接触れ合おうものなら、
倒れてしまうほどで、
最初はそれに気が付かなくて、貧血を起こしていると思っていたそうだ。
『能力』に気付いてからは、
なるべく電車には乗らず、
今も歩いて通勤しているし、
どうしても電車に乗る時は、夏でも長袖に手袋を嵌めているそうだ。
それでも何かの拍子で状態の悪いヒトに触れてしまったり隣り合ったりすると、
身体が物凄く疲れてしまって、調子が悪くなってしまう。
上司に肩を軽く叩かれるとか、
何かを渡す時に手が触れるだけでも、
相手が体調が悪いとたちまち、ダメージを受けてしまう。
外資系だから、海外の顧客と挨拶に握手をすることもあって、
流石に手袋をする訳にもいかないから、
一気にこちらにダメージが流れ込んで来ることもある。
上司に顔色の悪さを指摘されて、
偏頭痛や貧血があってと咄嗟に言い訳をしたら、
心配した上司がこのサロンを紹介してくれた。
そして、これまで誰かに触れられると具合が悪くなるからと病院にも罹れなかったのに、
不思議と葵の施術は心地良く、
ダメージも受けなかったから、
ここなら大丈夫と思って再訪したと言っていたらしい。
『能力』か。
俺の呪われた血と違って、
天使のようだなと、心の中で呟いてしまった。
自分用のマグカップとカルテを手に戻って来た。
カルテを俺に渡して、
ポットから紅茶を注いで、
一口飲んで俺を見る。
「まだ、カルテは途中だけど」と言いながら、
彼女の話をし始めた。
葵の話によると、
彼女には少し変わった『能力』があるらしい、
それが本当のことなのか、
自分の思い過ごしなのか、
彼女自身もよく判らなくて戸惑ってもいる。
その『能力』は、
触れた人の肉体的な痛みや精神的な痛みを吸い取ってしまうというものではないかと、彼女はそう考えていた。
だから、混み合った電車なんかでたまたま身体を接してしまった人が物凄く状態が悪いと、
服越しでもかなりダメージを受けてしまう。
暑い季節で肌が直接触れ合おうものなら、
倒れてしまうほどで、
最初はそれに気が付かなくて、貧血を起こしていると思っていたそうだ。
『能力』に気付いてからは、
なるべく電車には乗らず、
今も歩いて通勤しているし、
どうしても電車に乗る時は、夏でも長袖に手袋を嵌めているそうだ。
それでも何かの拍子で状態の悪いヒトに触れてしまったり隣り合ったりすると、
身体が物凄く疲れてしまって、調子が悪くなってしまう。
上司に肩を軽く叩かれるとか、
何かを渡す時に手が触れるだけでも、
相手が体調が悪いとたちまち、ダメージを受けてしまう。
外資系だから、海外の顧客と挨拶に握手をすることもあって、
流石に手袋をする訳にもいかないから、
一気にこちらにダメージが流れ込んで来ることもある。
上司に顔色の悪さを指摘されて、
偏頭痛や貧血があってと咄嗟に言い訳をしたら、
心配した上司がこのサロンを紹介してくれた。
そして、これまで誰かに触れられると具合が悪くなるからと病院にも罹れなかったのに、
不思議と葵の施術は心地良く、
ダメージも受けなかったから、
ここなら大丈夫と思って再訪したと言っていたらしい。
『能力』か。
俺の呪われた血と違って、
天使のようだなと、心の中で呟いてしまった。

