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やっと、逢えた
第1章 ある雨の日
館に帰ろうかと思ったけど、
葵(あおい)に話を聴いて貰おうかなと思って、
「サロン」に行くことにした。

そっちの方が館より近かったということもあって、
5分もしないうちに「サロン」のドアを開けていた。


エントランスに靴が揃えられていた。
まだ、その靴の持ち主の臭いが漂っている。

GUCCIの磨き上げられた大きな革靴。
糖尿に尿酸値高めのA型か。
煙草は吸わないようだな。

葵の客だろうなと思って、
自分の書斎に入った。

デスクに握り締めてた傘を置いてカウチに横になって目を閉じた。


まだ、手に彼女の甘い香りが残っているような気がして、
手の甲を鼻に近付けてからペロリと舐めてみたけど、
流石に味わうことは出来なくて嗤ってしまう。


仕事の疲れが込み上げてきたのか、
俺はそのまま、深い眠りに落ちてしまっていた。
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