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おじいちゃんをお風呂に入れるのは
第1章 おじいちゃんをお風呂に入れるのは
「……おじいちゃん、気持ちいい?」

 こうしておじいちゃんと一緒にお風呂に入るのも、何年ぶりだろう。


 ……


「|絵里加《えりか》ちゃん。おばあちゃんちょっと手が離せないから、おじいちゃんをお風呂に入れて来てくれる?」

 大学2年生の夏休み。久しぶりに祖父母の家に泊まって居間でのんびりくつろいでいたとき、おばあちゃんは私にそう言った。

 おじいちゃんはずいぶん前から認知症にかかっていて、自分の身の回りの世話をすることも難しい。

 普段はホームヘルパーさんが面倒を見てくれるけど、今日は来ていなかった。


 おじいちゃんを、お風呂に入れる。

 服を着たまま入って身体を洗ってあげることもできるけど、たまにはおじいちゃんを湯船に浸からせてあげたい気もする。


 でも、そうなると私も裸にならないといけない。

 男の人とお風呂に入るといっても相手は実のおじいちゃん。私のことが分からない訳でもないし、特に問題はないだろう。


 そんな風に、甘く考えていたのだけれど。
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