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こんなに晴れた素敵な日には先輩の首を絞めたい
第13章 エピローグ 世界はそれを愛と呼ぶ
 今日は金曜日なので夕方カンファレンスの後に教授回診があって、教授回診の後は研修医同士で分担して患者さんの回診記録を電子カルテに記載する。

 そして全ての業務が終わった後、私は医局で残業している嶋田先輩に声をかけた。


「せーんぱいっ」
「うわっどうしたの日比谷先生。そんなかわいい声出して」
「そういう表現セクハラですよ? それはともかく、どうせ今日も仕事終わったらカラオケ行くんですよね。私もご一緒していいですか?」
「やっぱりばれてたか。19時ぐらいになるけど別にいいですよ。後で部屋のURL送ります」

 他の研修医や指導医の先生がいる前で堂々と先輩をデートに誘った私を見て、医局秘書さんを含めた周囲の人々はヒューヒュー! と口笛を吹いていた。

 こうやって「悪い噂」が余計に病院内で広まっても、今の私にとってはどうということはない。


 週に合計1日分関連病院でアルバイトをしている嶋田先輩の終業時刻は夕方の18時40分で、私も研修医センターで電子カルテを開いて明日予定入院してくる担当患者さんの予習をしているとそれぐらいの時間になった。

 嶋田先輩がラインで送ってくれたURLを見て大学近くにあるカラオケボックスの部屋に入り、先輩が到着する前に2曲ほど歌った。

 そして先輩がドリンクバーで烏龍茶をコップに注いで部屋に入ってくると、私は座席に腰掛けた先輩にぴったりと身体をくっつけた。


「日比谷先生、距離が近いよ!」
「こうしてちゃだめですか?」
「僕はそうやって優しくされるのに慣れてません」
「ベッドの上ではいつも通りだからいいじゃないですか」
「またそんなこと言って……じゃ、歌うね」

 そして先輩は電子目次本端末を操作してお気に入りの1曲を予約し、最新型のマイクを手に取ると歌い始める。

 サンボマスターという一昔前に流行ったバンドの名曲で、私は先輩がこの歌を歌っているのを聴くのが大好きだった。
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