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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第6章 Mの目覚め〜香緒里
ためらいがちに、おずおずと客席へ背中を向けた彼女に男が歩み寄り、か細い腕を捕まえた。彼女は弱々しい抵抗を見せたが、男は構わずに、捕らえたその腕を持ち上げた。そして頭上で揺れている枷の輪に彼女の左右の手首を通し、しっかりと拘束した。
「ああぁ……」
女の唇からかすかなため息がもれた。腕の自由を奪われてしまい、もうどこも隠せない。激しい羞恥と不安がその美しい肢体を苛み、しかし同時に妖しい期待も感じていた。
……夢が現実に。あのいやらしい夢が、ついに……。
あの日。かかりつけの医師から手渡されたカードに記されていたナンバーへ、彼女はしばらく悩んだ末に電話を掛けた。そして電話に出た女性…レディS(エス)と名乗ったその穏やかな声の女性に、初めのうちは警戒していたものの、いつしか自分の悩みをすべて打ち明けていた。
彼女が心を開いた理由は、レディSが途中で口を挟んだりせずに、ファザーコンプレックスがとか、幼少期のトラウマがなどと、誰でも思いつきそうなことを一切言わずに黙って聞いてくれたからだ。
そして、都内のとある場所に招かれた彼女へ、
「可哀想に。さぞかしつらかったでしょう」
「ああぁ……」
女の唇からかすかなため息がもれた。腕の自由を奪われてしまい、もうどこも隠せない。激しい羞恥と不安がその美しい肢体を苛み、しかし同時に妖しい期待も感じていた。
……夢が現実に。あのいやらしい夢が、ついに……。
あの日。かかりつけの医師から手渡されたカードに記されていたナンバーへ、彼女はしばらく悩んだ末に電話を掛けた。そして電話に出た女性…レディS(エス)と名乗ったその穏やかな声の女性に、初めのうちは警戒していたものの、いつしか自分の悩みをすべて打ち明けていた。
彼女が心を開いた理由は、レディSが途中で口を挟んだりせずに、ファザーコンプレックスがとか、幼少期のトラウマがなどと、誰でも思いつきそうなことを一切言わずに黙って聞いてくれたからだ。
そして、都内のとある場所に招かれた彼女へ、
「可哀想に。さぞかしつらかったでしょう」