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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第1章 プロローグ Crime d'amour 〜 愛の罪
車から小型のスーツケースを下ろす。一泊だけなので荷物は少ない。靴を履き替えてから、長旅で凝った背中と腰を伸ばし、スーツケースを引いて歩き出す。
一旦、駐車場から出て、建物の正面へ回る。短い階段を登るとエントランスだ。まるで英国貴族の居館のような重厚な両開きの扉。その横の壁には、柔らかなオレンジ色を放つ、黒いアイアンのランプ。鉄の鋲が穿たれた扉の表面に、真鍮の小さなプレートがあり、流麗な書体でCrime d'amour"と彫られている。
訪問の前に髪を束ねた。身なりも乱れていないかを点検する。そして重いドアノッカー(鉄でできた厳しい顔のライオンだ)を叩く。
ゴォン。
ゴォン。
重く深い音が響いて消えていく。私は待つ。ノックは一回と決められている。背筋を伸ばし、顎を引いて、まっすぐに立ち、じっと待つ。
ほどなく、ギッ、というきしみとともに、目の前のドアが開いた。仄暗い空間がドアの隙間から見えた。
「お待ちしておりました。末永様」
一旦、駐車場から出て、建物の正面へ回る。短い階段を登るとエントランスだ。まるで英国貴族の居館のような重厚な両開きの扉。その横の壁には、柔らかなオレンジ色を放つ、黒いアイアンのランプ。鉄の鋲が穿たれた扉の表面に、真鍮の小さなプレートがあり、流麗な書体でCrime d'amour"と彫られている。
訪問の前に髪を束ねた。身なりも乱れていないかを点検する。そして重いドアノッカー(鉄でできた厳しい顔のライオンだ)を叩く。
ゴォン。
ゴォン。
重く深い音が響いて消えていく。私は待つ。ノックは一回と決められている。背筋を伸ばし、顎を引いて、まっすぐに立ち、じっと待つ。
ほどなく、ギッ、というきしみとともに、目の前のドアが開いた。仄暗い空間がドアの隙間から見えた。
「お待ちしておりました。末永様」