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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第7章 晒される羞恥と屈辱〜緋美
「うむ。なるほど。そうか」

 渋い知的な声でそう言ったあとに、

「Frauは? やってみたのかな?」

 具体的に単刀直入に聞かれた。その意図は明白だ。私を……というか、私のからだを気に入ってくれたのだ。

「いいえ」

 私は正直に答えた。でも、と続けようとしたら、

「ここでは東京のサロンにいるFrau……青のスレイブたちと同じ体験ができるのだよ。知っているかい」
「はい。存じております」

 教えてくれようとするその人へ、今夜に初体験する予定であるのを伝えた。すると、その人はまた、なるほど、と言った。

「僕は四宮(しのみや)という。きみを何と呼べばよいかな」

 聞かれて困ってしまった。ゲストに名乗られるのも初めてだけれど、ゲストから名前を尋ねられたのも初めてだからだ。

 この場所での私はただの女。従属し支配される悦びを求めてやってきた。その業界では名の知れた企業の課長補佐というポストも学歴も関係が無い、名も無い女だ。それはこの男性もわかっているはず。それなのに、なぜ?

 聞かれたら答える。
 それがここのルールだ。

 どうしよう……。
 
 そうだ。
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