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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第7章 晒される羞恥と屈辱〜緋美
 サロンのFrauたちには花の名がついていると聞いた。
 だから……。

「リコリス……です」

 とっさに私の名「緋美(あけみ)」の由来になった花の名前を口にした。

「なるほど。リコリスか」
「はい」
「ではリコリス。今夜のFrauのきみをリザーブしておくよ。またあとで」

 耳元でささやいたその人が私から離れていく。



 それからどれぐらいの時間が経ったのか。一時間? 二時間? もっと短いのかもしれないし逆かもしれない。私の耳に聞き覚えのある足音が届いた。その、革靴の踵が床を叩くカツンカツンという音が近いてくる。やがて私のすぐ横で止まった。見えない手に髪を掴まれ、目隠しされた顔を上げさせられる。

「ゲストの皆さま。今宵のディナーそして"磔刑の女"はいかがでしょう。顔をお見せできないのが残念ですが、アイマスクをしても顔形の美しさとこの美しい身体はゲストの皆さまの嗜好をそそるのではないでしょうか」
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