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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第9章 被虐の快感〜緋美 美しき奴隷
 Frauは娼婦ではない、と教えられた。性行為をサービスとする娼婦とは異なり、サディストの男性にかしずくマゾの奴隷であると、SとMの関係において対等の存在であると、レディSから教えられた。私はその「対等」の意味をいまだに理解できていない。Frauとゲスト双方の承諾があれば性行為も認められる、となれば、やはり娼婦なのではないか? さらにSとMの主従関係と性行為……セックスは別物であるとも教えられた。

 それらを私に語ってくれたレディS、その人は、外見こそ私と同年代に見えた。失礼かと思ったが、いつか年齢を尋ねたところ、私よりも一つ下とわかり、親近感を覚えると同時に、気後れも感じた。気品のある美貌に優しげな声。上品なのになぜかゾクっとするような妖艶さも兼ね備えている。知性を感じるその瞳は、たまにフッと遠くを見ているような表情になる。
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