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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第9章 被虐の快感〜緋美 美しき奴隷
信憑性の怪しい噂によれば、サロン・ド・ヴェロニカペルシカの総帥ディーの愛奴たるレディSは、死してのちに蘇ったとか、死ぬほどの地獄を見てきたとか、凄惨な拷問を受け、それを奇跡的に生き延びたとか。あくまでも噂に過ぎないが、彼女の澄んだ瞳の奥には、平和に暮らしている私の想像を超えた修羅場をくぐり抜けてきた、そんな深淵があった。つらい経験をしたのは確かだろう。だからこそ、私のような被虐の悩みを抱えた女性たちへ、優しい手を差し伸べて、悩みから解放する手助けをしているのだと、私は思っていた。
レディSの回想をやめて鏡を見る。緊張しているせいか、少し顔色が悪い。手のひらが汗ばんでいた。けれど妖しい期待も感じていた。
時計を見ると、二十二時まであと少しだ。そろそろ行かないと。
「さあ、行こうか」
鏡の中の私に微笑んでみせる。そして私はFrauになった。
レディSの回想をやめて鏡を見る。緊張しているせいか、少し顔色が悪い。手のひらが汗ばんでいた。けれど妖しい期待も感じていた。
時計を見ると、二十二時まであと少しだ。そろそろ行かないと。
「さあ、行こうか」
鏡の中の私に微笑んでみせる。そして私はFrauになった。