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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第10章 被虐の快感〜緋美 主従契約の誘惑
「お許しください」
「きみを気に入った。プライベートで主従契約を結びたい。だから」
えっ、と驚いている私の前で、ご主人さまはマスクをむしり取ってしまった。シャツの胸ポケットから散り出した、銀色の細いフレームのメガネをかける。レンズの奥の冷たい目が私を見る。
「僕はW大学の哲学部の教授をやっている。四宮は本名だよ」
「……」
「どうかな。そのマスクの下の顔を見せてくれないか」
尋ねてもいないプライベートを一方的に明かされ、どうすればよいのか判断がつかずに言葉を失う。動揺もしていた。
プライベートを明かしてはいけない、などというルールは存在しない。SとM双方の承諾があれば、だ。
「少し……考えさせてください」
細面の神経質そうな顔に答えた。考えるまでもなく、主従契約の件はとりあえず横に置いても、私の返事はノーだ。いきなり「できません」と答えたら失礼だと思ったので、時間をくれと言っただけ。
「いいよ。返事はあとでいい」
「ありがとうございます」
礼を言い、どんな断り方をしたら当たり障りがないかを考えようとしたら、
「それではリコリス……」
服を脱ぐようにと、毅然とした声音で命じられた。
「きみを気に入った。プライベートで主従契約を結びたい。だから」
えっ、と驚いている私の前で、ご主人さまはマスクをむしり取ってしまった。シャツの胸ポケットから散り出した、銀色の細いフレームのメガネをかける。レンズの奥の冷たい目が私を見る。
「僕はW大学の哲学部の教授をやっている。四宮は本名だよ」
「……」
「どうかな。そのマスクの下の顔を見せてくれないか」
尋ねてもいないプライベートを一方的に明かされ、どうすればよいのか判断がつかずに言葉を失う。動揺もしていた。
プライベートを明かしてはいけない、などというルールは存在しない。SとM双方の承諾があれば、だ。
「少し……考えさせてください」
細面の神経質そうな顔に答えた。考えるまでもなく、主従契約の件はとりあえず横に置いても、私の返事はノーだ。いきなり「できません」と答えたら失礼だと思ったので、時間をくれと言っただけ。
「いいよ。返事はあとでいい」
「ありがとうございます」
礼を言い、どんな断り方をしたら当たり障りがないかを考えようとしたら、
「それではリコリス……」
服を脱ぐようにと、毅然とした声音で命じられた。