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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第14章 被虐の快感〜緋美 縄酔いと放置プレイ
 相手の目を見据え、言った。驚いたようにその目が見開かれ、フッと表情が緩んだ。

「私は良い人間ではない。いくら気取ったところで所詮は金で女を買う男だ。総帥の"D"ディーは私を嫌っている。レディSには会ったかな」

 それが私への質問であると気づき、

「はい。サロンでお会いしました。その縁でこの場所へ」

 話の脈絡がわからないが、正直に答えた。

「私と彼女は因縁があってね。本来ならば彼女は私の……いや。よそう。私の口からは話せないのだ」

 なぜ今こんな話題を私に?
 縄掛けされて動けないから、聞くしかないけれど。

「そのレディSとディーは、サロンは娼館ではないと言う。私に言わせればそれは偽善だ。気取った言葉遊びに過ぎない。富裕層のサディスト会員向けの、上品にSMプレイを嗜むサロン、そしてサロンの美しいFrauたちは会員にかしずくM奴隷。SMとセックスは別物であるとディーは言う。双方の同意があればFrauとセックスしても構わないが、セックスの目的でサロンを利用するのは、本来の趣旨から逸脱していると、ディーとレディSはのたまう。きみはどう思う?」

 聞かれて困った。困ってしまった。
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