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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第14章 被虐の快感〜緋美 縄酔いと放置プレイ
 こんな、裸同然の格好で縛られて吊るされて、被虐の快楽にどっぷり浸っている女に、まともな思考などできやしないし、私がお世話になっている組織の方針の是非を、こんなタイミングで聞くほうもどうかしている。

 とりあえず……私は自分の意思のもとに、この人に抱かれるつもりでこの部屋に来た。この館に足を踏み入れた際に支配人から確認されたとおりに、Frauとしてのプレイならびに、ゲストの要望があれば性交も承諾するという旨を記した書類にサインしたのだ。

 それはおそらく、最近に法律が成立した「不同意性交罪」への、組織としての対応の一環だろうと私は推測している。SMクラブであろうが娼館だろうが、多額の財政規模を持つ組織なのだから、法律に則って(限りなく黒に近いグレーな部分もあるだろうけれど)きちんとしておくのは良いことだ。

 とにかく、私の返事を待っているご主人さまへ、なにか言わないと。

「ええと……」

 頭の中で考えをまとめていると、

「今、きみが考えていたことを言ってみなさい」

 まるで教師のような命令が。私の思考を読んだかのようだ。

 あ、そうだった。
 この人は大学教授だった。
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