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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第2章 美しきヴァイオリニストの淫夢
「もっと叩いてください。ああ、もっとひどい罰をください」
「よろしい。おまえに罰を与える」
「お願いします。もっと、ああもっと……」
ご主人さま、と、口にしたところで目が覚める。いつも同じだ。
増島香緒里が夢の話を終えた。彼女がこの大学病院の心療内科の診察を受けるようになった半年ほど前から、何度も聞いている。いつも同じ夢だ。カルテを眺め、医師の矢島は、目の前の香緒里に視線を戻した。
この美しいヴァイオリニストは、知り合いの医師からの紹介でここへ来た。最初のうちは矢島の部下の准教授が診察していたのだが、途中から教授の矢島自らが診察するようになった。その理由は、増島香緒里の症例に改善の兆しが見られないこと、そして、矢島が香緒里に興味を持ったからだ。
夢の話を終えた香緒里は妙に色っぽい。
学生の頃から、おかしな夢に悩まされていると訴えてはいるけれど、果たして本当にそうなのか? ファザーコンプレックスもしくは幼少期のトラウマを疑ったが、どうもそうではないようだ。
であるならば……。
もしや…。
矢島はある確信を抱いた。
「増島さん。お聞きしたいことがあります」
「よろしい。おまえに罰を与える」
「お願いします。もっと、ああもっと……」
ご主人さま、と、口にしたところで目が覚める。いつも同じだ。
増島香緒里が夢の話を終えた。彼女がこの大学病院の心療内科の診察を受けるようになった半年ほど前から、何度も聞いている。いつも同じ夢だ。カルテを眺め、医師の矢島は、目の前の香緒里に視線を戻した。
この美しいヴァイオリニストは、知り合いの医師からの紹介でここへ来た。最初のうちは矢島の部下の准教授が診察していたのだが、途中から教授の矢島自らが診察するようになった。その理由は、増島香緒里の症例に改善の兆しが見られないこと、そして、矢島が香緒里に興味を持ったからだ。
夢の話を終えた香緒里は妙に色っぽい。
学生の頃から、おかしな夢に悩まされていると訴えてはいるけれど、果たして本当にそうなのか? ファザーコンプレックスもしくは幼少期のトラウマを疑ったが、どうもそうではないようだ。
であるならば……。
もしや…。
矢島はある確信を抱いた。
「増島さん。お聞きしたいことがあります」