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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第18章 エピローグ〜それぞれの日常へ
「……ありがとうございます。とりあえずその件は保留にさせてください」
ありがたく、ご忠告を記憶にとどめておくことにする。
♢
館から外へ出ると、雨の匂いがした。今日の予報は知らないが、もうすぐ降ってきそうだ。足早に駐車場へ向かう。停めてある車が増えていた。レクサスにレンジローバーに、高級車ばかりだ。四宮教授の車はどれだろう。
昨日見た、白いメルセデスに、ちょうど女性が乗り込むところだった。なぜか私はハッとした。
この館を訪れる女性は……。
気配を感じたらしいその女性が振り向いた。長い髪の、身長は私と同じぐらい。年齢は……私よりも歳下に見える。私と同じような濃い目のサングラスをかけている。それなのに、なんとなく見覚えがあった。
たしか、ヴァイオリニストの。
その女性が会釈した。私も会釈を返す。そして今見た顔を忘れることにする。自分の車に乗り込み、駐車場から出ていくメルセデスを見送る。
電源を切っていたスマホのスイッチを入れる。着信履歴があった。会社の、同じセクションの部下からだ。リダイヤルすると数回のコールで繋がった。
ありがたく、ご忠告を記憶にとどめておくことにする。
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館から外へ出ると、雨の匂いがした。今日の予報は知らないが、もうすぐ降ってきそうだ。足早に駐車場へ向かう。停めてある車が増えていた。レクサスにレンジローバーに、高級車ばかりだ。四宮教授の車はどれだろう。
昨日見た、白いメルセデスに、ちょうど女性が乗り込むところだった。なぜか私はハッとした。
この館を訪れる女性は……。
気配を感じたらしいその女性が振り向いた。長い髪の、身長は私と同じぐらい。年齢は……私よりも歳下に見える。私と同じような濃い目のサングラスをかけている。それなのに、なんとなく見覚えがあった。
たしか、ヴァイオリニストの。
その女性が会釈した。私も会釈を返す。そして今見た顔を忘れることにする。自分の車に乗り込み、駐車場から出ていくメルセデスを見送る。
電源を切っていたスマホのスイッチを入れる。着信履歴があった。会社の、同じセクションの部下からだ。リダイヤルすると数回のコールで繋がった。