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第4章 食事会

一方で他の記事から、萩子は自身のセックスライフについて考えさせられることが多々ありました。
アンケート結果として詳細に示された恋人同士、夫婦など様々な男女関係のセックスの実情を知り、自分が体験してきたセックスとの違いに、萩子は愕然としました。それまで、処女を捧げた初めての彼とのセックスも、二人目の彼から最愛の夫となった貴之とのセックスも、こういうものだと受け止めていました。結婚して生活が変わったこともあって夫婦の夜の回数が減っていることも、萩子は漠然と世間一般的にこうなんだろうなぐらいにしか考えていませんでした。
しかしながら、記事の内容に比べて回数も、一回の時間も、加えて内容さえも乏しいものだったと思い知らされたのです。
イラストで一般的として紹介されていた体位のうち、正常位以外は初めて知るものばかりでした。
セックスの充実度診断でかろうじて下から２番目の“初心タイプ”に分類されたものの、経験の未熟さを認めざるを得なかった萩子は、続いて記された、セックスライフを充実させる提言の一文に目を瞠りました。
“セックスレスが続く場合、パートナーとの躰の相性が合っていないのかも。そんなときは、パートナーは心や生活を満足してくれる相手と割り切って、躰を満足してくれる別のパートナーの獲得を考えましょう”
それは、萩子が常識だと疑うこともなかった夫との関係を、根本から覆す内容だったのです。
（これって、貴之さんとのセックスは諦めて、セフレを作れってこと？こんなの、おかしい！）
短大の頃、セフレがいると公言していた同級生を軽蔑し、会話さえ嫌悪感を抱いていた萩子にとって、到底従うことができる提言ではありませんでした。
しかし、貴之とのセックスレスは解消できず、時々してしまうオナニーに虚しさを感じるようになって、拒絶する気持ちが徐々に変わっていきました。アンケート結果でセフレのいる割合が少なくないということや、体験談から躰のパートナーの存在が夫婦生活を充実させている人が何人もいることを知って、自分の考えの方が間違っているのではないかと思うようになったのです。夫婦それぞれに躰のパートナーがいて、それをお互い公認しているという、以前であればあり得ないと非難するような内容さえ、納得していればいいのかもと受け入れられるようになっていました。