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第5章 誕生パーティー

ほっと安堵する気持ちと共に、さらなる辱めが無かったことに微かな落胆を抱きながら、捲くり上げていた服を下ろし、捲れ上がっていたスカートを整えます。
「嘘じゃなかったでしょ」
「はい。なんか・・・、よかったです」
（悠希くん、染みに気付いてるよね？なのに、わざと訊いてこなかった？）
そのことが、少し引っかかりました。
「僕としては、一気飲みしてもっと酔った萩子さんも見たかったんですけどね」
そう言って、グラスに残っていたお酒を少し口につけます。
「じゃあ、次の勝負です。最初はグー、じゃんけん・・・」
「ポン！」
「・・・ポン」
「え？」
萩子の出したグーに対して、悠希が明らかに後出しながらチョキを出しました。
「あーあ、負けちゃいました」
「後出しだったよね？」
「お酒飲んだら、また酔っちゃって・・・。遅れちゃいました」
作り笑いだとすぐにわかる表情をする悠希に、萩子は何か意図があるんじゃないかと感じます。
「私の勝ち、ってことでいいのよね？」
「もちろん。大人の質問をどうぞ」
「じゃあ・・・」
質問を考えますが、酔っていて頭が上手く働かず、何も浮かんできません。
（大人のって、どんな質問したらいいか・・・。仕返しに、悠希くんを困らせるような質問をしたいけど・・・。リコさんとどんなことしてたとか訊く？だめだめ。そんな過去を蒸し返すようなこと訊くなんて。それに、ふたりの秘め事を聞き出すのも大人げない。でも、他にどんな・・・）
沈黙の中、時間だけが過ぎていきます。
その時に、酔いが深くなるきっかけとなった、最初に訊きかけた質問が頭に浮かびました。
それを察知したかのように、悠希が言葉を発します。
「さっき訊こうとした質問でもいいですよ」
「えっ？」
「あそって言い掛けた質問ですよ」
萩子はびくっとしました。