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第2章 落とし物

悠希の舌を受け入れた辺りから、記憶がおぼろげになっていました。視線をヘッドボードの目覚まし時計に移し、短く無い時間を費やしていたのだと気付きます。
（こんなキス、初めて）
OLの時に初めて付き合った男性とのファーストキスから、キスすることが好きな萩子でしたが、その初彼ともその後に付き合った夫の貴之とも、時間を忘れるほどのキスはありませんでした。
（久しぶりのキスだから？）
急に制止されておどおどしている悠希に視線を向けます。唇周辺が唾液でてらてらと光っていて、濃厚なキスをしていたことを思い知らされました。
（悠希くんとのキスが、二人と違ってすごくよかったってことなの？）
その時、萩子は下腹部の違和感に気付きました。
（えっ？これって、私・・・）
信じられない躰の異変に戸惑っていると、
「萩子さん」
と急に悠希に呼ばれてどきっとします。
「な、なに？悠希くん」
「ぼくのキス、どこか変でしたか？」
萩子がしばらく黙っていたので、不安になった悠希が訊きました。
「そんなことないわ。大丈夫よ」
教えるはずが夢中になっていたことに、急に恥ずかしさが芽生えてきます。わざとそっけなく答えた後、あまり深く訊かれないように萩子から訊き返しました。
「次は、何したい？」
「あの・・・、胸を見たいです」
悠希は再び恥ずかしそうに答えます。
「わかった。練習だから、悠希くんが服を脱がせて」
（練習だから、私がちゃんとしていないと）
悠希に教える役割を再認識する意味も込めて、萩子は言いました。
「はい」
悠希は萩子に近づき、かぶりのパーカーの裾を持つと少し手間取りながら上へ脱がせていきます。お腹の部分から、徐々に萩子の白く透き通るような肌が露出されていきます。更にブラジャーも露わになり、萩子の羞恥も増してきますが、じっと耐えます。
（恥ずかしいけど、練習だから）
脱がしやすいように萩子が両腕を上げたため、腋が露わになりました。ちょうど脱がされている服が顔を覆い、少しの間悠希がどこを見ているかわからなくなります。短時間で処理をした腋の剃り跡を悠希が凝視しているような気がして、隠すために早く脱がして欲しくなります。ようやく悠希が服を脱がせると、すぐに腋を隠すように腕を下げました。
悠希が、脱がしたパーカーを横に置いて改めてブラジャーを見つめます。
（あぁ、見られてる）