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コンビニバイトの男の子
第10章 耽溺
彩花が戻って来たところで、瞳が待っていたように話し始めます。
「そう言えば、皆知ってる?」
「でました、瞳先輩のスクープタイム!」
「前回のスクープもガセネタでしたよ。今回は間違いないんでしょうね?」
萌の茶化す言葉に続いて、彩花が胡散臭そうな顔をし て言いました。
「まあまあ、流石にそろそろちゃんとしたネタのはず・・・、ですよね?」
「もう!萩子ちゃんまで莫迦にして」
瞳が頬を膨らましますが、表情から本気で怒っていないのは明らかです。
女子会をするようになってから、何事も完璧に見えていた瞳が、意外と天然なところが多いことに気づいて親近感を抱くようになっていました。
萌に至っては、瞳をいじられキャラとして扱っている節さえありました。本人も満更でもなさそうで、他の2人も便乗して瞳をからかうことは、女子会を盛り上げる恒例事となっています。
「今度のは有力な情報元からのネタだから」
気を取り直して、瞳が話題を続けます。
「西園寺さんって、最近見ないでしょ?」
「そう言えば見かけませんね」
彩花が答え、萩子は頷きました。
良家のお嬢様のような名字の一方、容姿は至って普通で、そのギャップから印象に残っている女性でした。
「ジェネリックお嬢が、どうかしたんですかー?」
「だから萌さん、その言い方は止めなさいって」
口の悪い萌を彩花が窘めます。
「料理教室を辞めた、って言うか辞めさせられたんだって」
「そうなんですね」
入退会は頻繁にあり、珍しくないため淡々と受け止めた萩子に対して、実はゴシップネタが好きな彩花が興味津々で問い掛けました。
「辞めさせられたってことは、何かトラブルでもあったんですか?」
話題に食いついた彩花に、嬉しそうな顔で瞳が答えます。
「不倫よ、ふ、り、ん」
どきっ
思ってもみない言葉に、萩子は驚きました。
(西園寺さんが、不倫?)
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