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コンビニバイトの男の子
第10章 耽溺
『あーあ、僕のザーメンの匂いがついちゃったかもですよ』
『えーどうしよー』
萩子は笑って悠希に返しながら、しばらく指を精液の溜まりに泳がせました。そこは、貴之がいつも座る席の目の前でもありました。
ピピピピッ。
紅茶を蒸らす時間をセットしていたタイマーのアラーム音で、我に返ります。
(やばっ。私ったらこんなときに昨日のこと思い出しちゃって)
ティーポットの茶葉を上げてシンクに置いたとき、左手薬指の結婚指輪が目に入りました。
(そういえば、昨日は・・・)
情景がまた浮かび、ダイニングの3人の喧騒が遠ざかります。
雨の夜の一件以来、躰を求め合う前に結婚指輪を外すという行為が萩子の中で儀式化していました。ひとりの女に戻るという感じが、幼少時にテレビで観て憧れていた魔法少女が変身アイテムを解く時に近い気がして、気に入っていたからでした。
しかし、昨日はいつもと違いました。
『今日は僕が外します』
萩子の手を止め左手薬指の指輪を指で摘むと、
『貴之さんの妻、萩子から・・・』
くりくりと回して抜きとりました。
『これで僕の女、シュウさんへ戻りました』
『あぁ、ハルくんっ!』
そこから始まった、熱い抱擁と濃厚なキスに続いて、執拗な愛撫でお互いの躰を昂めあい、剥き出しの性欲をぶつけ合って至高の快楽を存分に享受した記憶が鮮明に蘇ります。
「っぁ・・・」
思わず声が溢れました。思い出しただけで脳が蕩けて、躰が小刻みに震えてきます。
「・・・ちゃん、萩子ちゃん?」
瞳の声が耳に届き、我に返りました。無意識に、スカートの上から手で股間を弄っています。
(私、みんながいるのになんてことを・・・)
慌てて紅茶の用意を再開しました。
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