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女旅芸人衆の淫ら旅
第9章 旅立ち~新たなステージへ

温泉旅館の厨房に小気味良い包丁がまな板を叩く音がする。
この温泉旅館の厨房を任されている板前の権蔵(ごんぞう)が夕餉(ゆうげ=夕食)の準備にいそしんでいた。

『ふぅ~…旦那様にも困ったもんだ。
食材の備蓄もそんなにないというのに、おなご(女)衆の団体様をお連れするんだからな…
朝餉(あさげ=朝食)、夕餉(ゆうげ=夕飯)の支度をするこっちの身にもなってもらいたいもんだ…』

そんなことを考えながらも、厨房の障子の向こう側を先ほどから何べんも行ったり来たりする人影に気が散って仕方ない。

権蔵はソッと障子に近づき人影が見えた瞬間を見計らって「こらっ!」と障子をバッと開いた。

「きゃあ!」
「ごめんなさい!!」

そこには温泉浴衣姿の年端もいかないおなご(女)二人が驚いてしゃがみこみながら謝っていた。

「あんたら…旅館の客人だね?」

「こらっ!」と叱りつけた時の大声とはうって変わって、猫なで声でしゃがみこんでいるおなご(女)二人に声をかけた。

ゲンコツで頭を叩かれるとでも思ったのか、その子らは手で頭を抱えながらウンとうなづいた。

「ここは厨房で遊び場じゃないんだからウロウロしないでもらえるかな?」

泣きわめかれても困るので、権蔵は諭すように穏やかに注意した。
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