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女旅芸人衆の淫ら旅
第9章 旅立ち~新たなステージへ
「ごめんなさい…でも、私たち、お腹すいちゃって…」
「で、夕餉(ゆうげ)はまだかなぁ~…って様子を見にきたんです」
「そしたら、厨房からまな板を叩く音がして…」
「そう、だから、どんなご馳走か気になっちゃって…」
可愛らしいおなご(女)二人は、まるで双子のように息がぴったりで、代わるがわる話してくれるものだから、権蔵は興味を抱いてしまった。
「そうかい、そうかい…
でもなぁ、あいにくと急な客人だからね、そんな大層な食材も無くてね…期待を裏切るようで悪いんだが」
もとより世間的に尊皇攘夷だとか、開国だの物騒な世の中になってしまったものだから、温泉に湯治に来る客もおらず、四人いた板前も三人に暇を出してしまって開店休業のような有り様なので、厨房には干物やら漬け物といった保存の効く食材しか残っていない。
「急にあんたらみたいに十数名もの団体に来られても、ご馳走なんか出せやしないんだよ」
「あたしたちなら握り飯さえあればそれでいいのよ」
「そうよ、飲まず食わずの夜なんて当たり前だったし…」
そう言いながら興味津々で二人は厨房を覗き込む。
「あんたら、賄いの経験はあるのかい?」
どうせなら、この子達に夕餉(ゆうげ)の支度を手伝ってもらおうと思った。
「米は炊けるわ」
「握り飯だって握れるわ」
そいつはいいや、猫の手も借りたいところだったので、権蔵は「こっちに入って来な」と二人を招き入れた。

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