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ヴェノナ文書(戦時中の共産スパイ資料)考/文学・文芸と共産
第4章 ペイン内戦の「国際旅団」と文豪ヘミングウェイ、現代文学と左翼
二つ前の「ヴェノナ文書」に関連する話だが。
あの解説・研究本を読むと(背景事情を知ると)、ヘミングウェイ(アメリカの文豪)の「誰がために鐘は鳴る」の意味が変わってくる。
同作では、スペイン内戦で反ファシズム・共和国側で参戦したアメリカ人義勇兵の物語ヒロイックかつロマンチックに描かれるわけだが。しかし、敵方のファシスト軍のフランコ将軍は独裁者でやり方に問題はあったわけだが、反共(共産党反対)主義者でもあった。対して、その「反ファシズム」を支援していたのはソビエト(ロシア)。
史実では、反ファシズムでスペイン内戦に送られた「国際旅団」のバックは共産コミンテルン。そして構成員は共産党員だらけで後のスパイ工作員になった者が少なくなかったのだそうだ。ソビエトは戦時中にアメリカと共闘していた時期から、敵対的で裏切り前提のスパイ工作をやりまくっており、それが調査で露見したから「冷戦」になっていったわけ。
それを考えれば、アメリカの国民的作家であるヘミングウェイが共産シンパを礼賛した長編小説を書いて、それが名作として評価されているのは異様でもあるだろう。
もっとも、戦時中や戦後すぐくらいまでは「共産主義・社会主義が人類を救う」という理想主義・楽観主義が広く通用しており(プロパガンダや宣伝・洗脳の効果でもあるにせよ)、そのために金銭や利益目的だけでなく良心からソビエト・共産主義に加担や同調する人間も多かったようである。仮にヘミングウェイが共産に同調的・擁護的だったとしても、当時の時代状況からすれば全くの悪意だったとは言い切れない面もある(むしろ読者たちは思想や政治態度でなく、彼の理想主義的で情熱的・ダンディな態度と価値観にこそ、共感や賛美したのだと思う)。
あの解説・研究本を読むと(背景事情を知ると)、ヘミングウェイ(アメリカの文豪)の「誰がために鐘は鳴る」の意味が変わってくる。
同作では、スペイン内戦で反ファシズム・共和国側で参戦したアメリカ人義勇兵の物語ヒロイックかつロマンチックに描かれるわけだが。しかし、敵方のファシスト軍のフランコ将軍は独裁者でやり方に問題はあったわけだが、反共(共産党反対)主義者でもあった。対して、その「反ファシズム」を支援していたのはソビエト(ロシア)。
史実では、反ファシズムでスペイン内戦に送られた「国際旅団」のバックは共産コミンテルン。そして構成員は共産党員だらけで後のスパイ工作員になった者が少なくなかったのだそうだ。ソビエトは戦時中にアメリカと共闘していた時期から、敵対的で裏切り前提のスパイ工作をやりまくっており、それが調査で露見したから「冷戦」になっていったわけ。
それを考えれば、アメリカの国民的作家であるヘミングウェイが共産シンパを礼賛した長編小説を書いて、それが名作として評価されているのは異様でもあるだろう。
もっとも、戦時中や戦後すぐくらいまでは「共産主義・社会主義が人類を救う」という理想主義・楽観主義が広く通用しており(プロパガンダや宣伝・洗脳の効果でもあるにせよ)、そのために金銭や利益目的だけでなく良心からソビエト・共産主義に加担や同調する人間も多かったようである。仮にヘミングウェイが共産に同調的・擁護的だったとしても、当時の時代状況からすれば全くの悪意だったとは言い切れない面もある(むしろ読者たちは思想や政治態度でなく、彼の理想主義的で情熱的・ダンディな態度と価値観にこそ、共感や賛美したのだと思う)。