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第1章 遮断

特別捜査官の山口優子（やまぐちゆうこ）は、窓際のカウンター席からベンチに座る男を見つめていた。ここは公園を一望できるカフェだった。遊歩道のベンチに座る男の表情は、ここからだと遠く、伺いすることができなかった。

彼女は夕暮れ時の明るさを気にしていた。公園内の木々が作る影が長くなっていたからだ。自身の目となってくれている、偵察要員からの連絡を待っていた。庁内でも信頼され、偵察・情報収集に活躍し、『ハヤブサ』と呼ばれている男だった。

テーブルに置いていたスマホが短く震えた。首を長くして待っていた連絡に、優子はスイッチを入れる。すぐに新着メールを開き、添付されていた写真を開いた。

脚を組んで座るスーツ姿の男が写っていた。『ハヤブサ』が望遠レンズで捉えた写真もあり、そこには男の顔が夕陽の淡い光に写し出されていた。優子は再び公園に視線を戻す。ターゲットの男と、ハヤブサの撮影地点を確認していた。おそらく茂みの隙間から、約100メートル離れて撮影されたものだった。