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特別捜査官・優子
第1章 遮断
「本来なら…この場所には誰かの紹介がないと入れないんだが…山口優子…君はこの男に紹介されたんだ…この紹介者が誰か…もちろん…君には分かるな…?」

小柄な男は粘着テープを佐々木に手渡していた。佐々木は粘着テープをビリビリと大きな音を立てて引き延ばしていた。

小柄な男が言葉を発した。
「警告したはずだ…『一人では危険だ…』と…危ない橋を渡ったな…」

その男は『ハヤブサ』に間違いなかった。男は2重スパイとして活動し、黒幕は佐々木だったのだ。優子は全てを悟り、絶望感に支配された表情で、小柄な男が背を向け去っていくのを見つめた。

「あなたは誰の味方なの…?我々を騙したの…?」
優子は吐き捨てるように去っていくハヤブサに言葉を発した。彼は後ろを振り返ることはなく、カーテンの向こう側に消えた。

佐々木は穏やかに、「他に言い残したことはないか…?」と優子に告げた。

優子は男を見つめ、「これは罠だったの…?」とその声は恐怖で掠れていた。男は答えず、冷徹な目に変わり、優子の口に粘着テープを隙間なく、容赦なく巻いていく。
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