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特別捜査官・優子
第2章 服従のしるし
佐々木の目の前にエレベーターホールが見えてきた。扉が1つだけあり、他に出入口はなかった。

男は優子の下半身に巻かれた鎖を解き、背中に掛かるフックも外し、女を吊りから解放した。すぐに女を肩に担ぎ、ジャケットの胸ポケットからカードを出していく。それを男がエレベーター横のパネルにスキャンさせると、ピィピィと電子音が2回鳴る。

すぐにエレベーターの扉が開く。男は背が高いため、優子を肩に担ぎ、ややしゃがむ形で中に入る。これは佐々木専用のエレベーターだった。その中にレールはなく、地下通路へと繋がっていなかった。そのため佐々木は女を担ぎ上げるしかなかった。さすがに爆発物や銃器類の輸送用ケースを上まで運ぶ必要性がないことを考え、フッと鼻で笑い、運び上げることになった女の存在を、エレベーターの内壁パネルで注視した。

それは鏡のようになっており、女の両脚がお尻を突き出すような姿勢で、佐々木の腕で抱えられていた。石のように固められた女の手首が見え、拘束が緩んでいないことを目視した。交差された手のひらを広げ、指先は力なく伸びていた。男の肩からは女のお腹が伸び縮みするのを感じ取り、背後からは女の「ふぅっ…ふぅっ…」と鼻から漏れる荒い息遣いが聞こえていた。
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