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第3章 アメとムチ

縄は彼女の手首にやや緩めに、楕円を描くように何度も細い手首を回っていた。男は縄尻をグッと強めに引き、再び縄に緊張を持たせる。後ろで伸ばしていた両腕がキュッと絞られ、再び縛られ、留められてしまう。彼女の首が反り、「ふぅぅ…」と鼻から吐息が漏れていた。先程まで強く絡まれていた指は、縄の締りを感じると力なく、そっと互いの指を絡めているだけだった。

優子は嫌な予感がして、呼吸がさらに荒くなっていた。佐々木が優子をマットに座らせ、楽な姿勢で再び縛ったのは、〔しばらく監禁するつもりだ…〕と無言のメッセージが縄を経由して伝えられた気がした。厳しい拘束を繰り返せば、優子の身が保たなくなる。だから〔慎重に…慎重に…それなりの配慮を意識させ…ゆっくりと崩そうとしている…〕と。

だが優子の予想を早くも裏切る兆候が背後で起きていた。彼女の背後で男が縄をゴシゴシと音を立ててしごいていた。それはまるで縄を束ねてムチにするような、ピンッ…という音だった。その音に優子の肩が敏感に反応した。