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特別捜査官・優子
第3章 アメとムチ
〔配慮などないんだ…〕

佐々木は身構える優子を嘲笑うように、足首に縄を掛けた。彼女は目隠しをされていたため、男が何をしているのか全く見えず、縄がストッキングに包まれた足首に触れる。女は捕まった際に、両脚も揃えられ、足首まで念入りに縛られていた。予期せぬ場所だったことで、体が大きく波打ってしまう。

優子は足首に縄を感じると、再び脚まで浮かされてしまうことを予感した。そうされた時の敗北感が脳裏によぎり、体を前に屈め、背中で吊られた縄に身を委ねてしまう。まるで追い討ちをかけられるような、捕縛の手を全く緩めない、用意周到な抑圧手段に、女は無意識の内に攻撃に備え身構えていく。受け身しか取れないという意味ではムチを受けたに等しかった。

今度は左右足首の中央にも縄が掛けられ、拘束感が増していた。その縄の余りが絡まる指先を分け隔てるように、左右の手首の中央を貫くように繋げられる。

下のホールで捕まった時に感じた、あの背中の寒気を、彼女は再び体感することになってしまう。足首と手首をそれぞれ包む輪が2度3度と、縄によって繋げられる。優子はそうされることで、自ら立ち上がれなくなると信じて疑わなかった。佐々木という男が手を抜くとは到底思えなかった。だが言葉を発することができない状況でも、暗黙のうちに了解した訳ではなかった。それは形だけの抵抗かもしれない。肩を揺すり、体を前に倒そうとし、男からできる限り離れて、拒否の意志を表したかった。
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