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特別捜査官・優子
第4章 裏の顔
その後、正面の壁は15秒ごとに各4方向からの映像を流し続けた。優子はただ体をよじるだけで、解こうとする動きをしていなかった。後ろ姿の映像を見ても、手首を縄から外そうとする仕草もなかった。彼女は映像を確認し、無駄だと痛感していた。

優子は自身の肉体反応を確かめるべく、自身の正面から捉えた映像を、ある1点を見つめていた。そこは下腹部で作られた◇、下の頂点だった。周りの生地よりも濃い染みが浮き出ており、モニターのライトが当たると、そこだけ光っているように見えていた、

彼女は壁モニターの明るさにより、ぼんやりと見える時計を見た。定めの時間が迫っていた。長針がカクッと分を刻み、表示板の『5』を指した。優子の感覚はどんどん研ぎ澄まされていき、遠くから廊下を歩く足音が聞こえていた。その音は男に体を担がれていた時に聞いた、あの足音だった。それを認識し、優子は正面から撮られる映像で、自身の表情を読んだ。救出を求める、期待の火が今にも消えそうな目だった。そして絶望に支配されつつあり、諦めかけている表情だった。

右側の壁に付いた扉が開かれた。優子はその方向を向くことなく、深く項垂れ、小さく呟いた。

「誰か…助けて…」
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