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悪いオンナ…3
第1章 【癒しの彼女には両想いの彼氏が居て……】
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やめろ……捕まるな
その目で、僕を見上げないで
あ…………
時間や月日なんて全然解決してくれないじゃないか
あの頃に戻ったんじゃない
今も尚、僕は彼女に射止められている
距離なんて一瞬で詰められて鷲掴みにされる
「冗談として取らないけど大丈夫そう?」
「え……」
「んふ、そんな覚悟も勇気もないくせに」
鼻で笑われて手を離してもらえた
去り行く背中、見えなくなるまで見届けてしまう
煩い……心臓が
その場に座り込んで頭を抱える
「何なんだよ、もう……」
二次会に出ても気になって仕方なかった
あちこちから話しかけられている
変わった事と言えばあの頃よりガードが固いような……
連れもまた、性懲りもなくアタックしてるけど大丈夫かよ
やめてくれ、恥ずかしいんだよ、ったく
挨拶も終わって終盤に差し掛かる頃
辺りを見渡しても彼女が居ない
えっ……トイレにも会場の外も居ないじゃないか
って、なんで捜してるんだよ
もう関係な……
反対側の道路で見つけたのは
参加者の男に言い寄られている彼女の姿だった
しつこい感じだ
首を振る彼女にまだ話しかけている
近くに居た連れの言葉も耳に入らないほど
僕は駆け出していた
もう彼女以外見えていなかった
認めたくないけど、僕は今、腹が煮えくり返っている
他の男が彼女に触れているから
やっぱり我慢出来ない
「あの…!僕の彼女に何か用ですか?」
慣れないのに肩を抱いて奪い取る
相手が居てようやく引き下がって行った
アイツ、相当飲んでたっぽいな
「あ……りがと、助かった」って顔が近い
ある程度まで一緒に居て、帰ろうと思った
危ないからホテルまで見送る
絶対に帰る……
絶対に………
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