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悪いオンナ…3
第1章 【癒しの彼女には両想いの彼氏が居て……】
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「……少しね」
「がっかりした?」
「いや、別に」
「本当、久しぶりだよね、元気そうだね」
「うん、元気だよ、そっちは?」
「うん、元気……」
スタンド灰皿を挟んで立つ僕たちの距離こそが
今の僕たちの距離なんだろう
あれからお互い色々あったと思う
海外に行ってた時の話や仕事の話をいくつか交わして、どうにか普通に喋れた
「明日の夜には……戻らないと、なんだ」
また海外か……凄いな
「泊まってるホテル、来る?」
「え…?」
思わず灰を落としかけた
クスッと笑う顔はあの頃と重なるけど
更に綺麗になった今は物凄い破壊力……
「やっとこっち見てくれた、全然視線合わせてくれないんだもん、こうでも言わないと見てくれないと思ったから」
「見てるよ、あんまジロジロは見れないけど…」
「気を遣わせてごめん、やり難いよね、ていうか、ナギサには言ってるのかなって思った」
「言わないよ」
「え…?」
「言わない、絶対誰にも…」
「そっか、亮くんにとっては黒歴史か……」
「違う、誰にも言わないのは僕の中だけで美化していたいから……ただの独り善がりだよ」
あんな終わり方しても、大切な出逢いであって
一生越える事のない恋愛だと思うから
「ずっと美化し続けられるのもしんどいよ?たまには塗り替えてみるのも良いんじゃない?アップデートも必要だよ〜?エヘヘ」
煙草を消してフザけて聞いてみた
「じゃ、アップデートしてくれるの?」
そんな気更々ないくせに、
アップデート出来てないのはどっち?
もうその手には乗らないよ
やっと真っ直ぐ顔を見れるようになったら
こっちに来て、曲がったネクタイを直してくれる
一瞬、息が出来なかった
クソ……動揺するな、静まれ、心臓
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