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蛇の檻
第7章 ――逃げ場なき檻
玲奈の意識は、徐々に混濁していく。

熱が体の奥底にまで浸透し、皮膚は過敏に研ぎ澄まされていた。
それはまるで、全身を包む空気すら重く感じられるほど。

――ここから逃げなければ。
本能が警鐘を鳴らす。

しかし、鎖が彼女をつなぎ止め、まるで蛇の檻に閉じ込められた獲物のように、玲奈の自由を奪っていた。

ピン!――

静寂の中、玄蛇の指が小さく合図を打つ。
その瞬間、周囲の空気が変わった。

観客たちが、ゆっくりと玲奈の周りに集まってくる。
影が幾重にも重なり、視界を塞ぐ。
まるで、捕食者たちが獲物を囲い込むように。

「……っ……」

玲奈は息を詰める。

熱気が押し寄せる。
視線が絡みつく。
逃げ場はない。

四方から伸びる気配に、全身が硬直する。
観客の間から、抑えきれない興奮のざわめきが広がっていった。

それは、炎が薪を飲み込むように、じわじわと大きくなっていく。
「……さあ」
玄蛇の低い声が響いた。

玲奈は歯を食いしばる。

心臓が、嫌悪と恐怖と混乱で激しく鼓動を打つ。
「どうする、玲奈?」
仮面の奥から注がれる視線。
玲奈は、ぎゅっと拳を握りしめた。
抗うのか、それとも――
宴は、ますます深く沈み込んでいく。

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