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蛇の檻
第7章 ――逃げ場なき檻
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深く響く波紋
玲奈の意識の奥で、何かが揺らぎ始めていた。
最初は小さな振動だった。
それは、遠くから聞こえる鼓動のように、かすかなものだった。
しかし、それは次第に確実な存在として、玲奈の身体を侵食していく。
皮膚の表面で震えたそれは、やがて内側へと染み込んでいく。
どこまでが自分の感覚なのか。
どこからが”それ”によるものなのか――。
「……っ……」
玲奈は奥歯を噛んだ。
――違う。
これは、自分の意思ではない。
“それ”が、意識を侵している。
逃げたかった。
だが、鎖が玲奈を縛る。
四肢は固定され、ただ揺らぎを受け入れるしかなかった。
そのわずかな震えが、静寂の中で響く。
観客の間に、息を詰める音が広がる。
彼らは、じっと見つめていた。
玲奈の肌の細かな震え。
呼吸の乱れ。
微細な動き。
一瞬たりとも見逃すまいとする、無数の視線。
熱が、空間を満たしていく。
まるで、玲奈の震えがその熱を呼び寄せるかのように。
「……面白い」
玄蛇の声が、静かに響いた。
彼は仮面の奥で、玲奈の変化を観察していた。
「お前の身体は、すでに”何か”を知っているようだ」
玲奈は震えながら首を振る。
――そんなはずはない。
それを認めてしまえば、もう戻れない気がした。
しかし、波紋は広がっていく。
皮膚の表面から、身体の奥へ。
意識の狭間へと。
抗おうとすればするほど、揺らぎは深く染み込んでいく。
観客のざわめきが大きくなる。
玲奈の、ささやかな抵抗。
それは、彼らにとって最高の”瞬間”だった。
玄蛇は、静かに言った。
「お前は今、どこにいる?」
玲奈は答えられなかった。
なぜなら――
自分でも、その答えが分からなかったから。
宴の熱は、もはや止まることはなかった。
玲奈の意識の奥で、何かが揺らぎ始めていた。
最初は小さな振動だった。
それは、遠くから聞こえる鼓動のように、かすかなものだった。
しかし、それは次第に確実な存在として、玲奈の身体を侵食していく。
皮膚の表面で震えたそれは、やがて内側へと染み込んでいく。
どこまでが自分の感覚なのか。
どこからが”それ”によるものなのか――。
「……っ……」
玲奈は奥歯を噛んだ。
――違う。
これは、自分の意思ではない。
“それ”が、意識を侵している。
逃げたかった。
だが、鎖が玲奈を縛る。
四肢は固定され、ただ揺らぎを受け入れるしかなかった。
そのわずかな震えが、静寂の中で響く。
観客の間に、息を詰める音が広がる。
彼らは、じっと見つめていた。
玲奈の肌の細かな震え。
呼吸の乱れ。
微細な動き。
一瞬たりとも見逃すまいとする、無数の視線。
熱が、空間を満たしていく。
まるで、玲奈の震えがその熱を呼び寄せるかのように。
「……面白い」
玄蛇の声が、静かに響いた。
彼は仮面の奥で、玲奈の変化を観察していた。
「お前の身体は、すでに”何か”を知っているようだ」
玲奈は震えながら首を振る。
――そんなはずはない。
それを認めてしまえば、もう戻れない気がした。
しかし、波紋は広がっていく。
皮膚の表面から、身体の奥へ。
意識の狭間へと。
抗おうとすればするほど、揺らぎは深く染み込んでいく。
観客のざわめきが大きくなる。
玲奈の、ささやかな抵抗。
それは、彼らにとって最高の”瞬間”だった。
玄蛇は、静かに言った。
「お前は今、どこにいる?」
玲奈は答えられなかった。
なぜなら――
自分でも、その答えが分からなかったから。
宴の熱は、もはや止まることはなかった。
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