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蛇の檻
第13章 『支配する美』
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第5話
満月の夜の宴
円台の上で、玲奈は死んだように横たわっていた。
口からはよだれが垂れ、目は虚ろ。
全身は赤く腫れ上がり、無数の歯型や爪痕が痛々しかった。
それでも男たちはまだ飽き足らず、次々に玲奈の体へと群がった。
三十数人の男たちは、いまだ皆一様に狂気に染まっていた。
獣のような目で玲奈の肉体を貪り、貪欲な舌で彼女の肌を這わせた。
男たちの荒い息遣いだけが、静まり返った宴会場に響き渡る。
男たちは玲奈の体から、最後の力を絞り取ろうとしていた。
彼女の体は、まるで使い古された人形のように、男たちの欲望のままに弄ばれる。玲奈の意識は、とうに遠い彼方へと飛び去っていた。
満月の夜の宴は、こうして終わりを告げた。男たちもまた、満足し疲れ果てていた。玲奈は一人、円台の上に残された。彼女の体は、もう何も感じなくなっていた。
玲奈は死んだように横たわっていた。
しかし、彼女の魂は、男たちの魂を捉えて離さなかった。
彼女の美しさは、まるで見えない鎖のように彼らを縛りつけ、逃れられぬ幻想へと引きずり込んでいった。
男たちは疲労と陶酔の狭間で、なおも彼女を見つめ続ける。
目の焦点が合わぬまま、玲奈の横たわる姿に縋りつくようにして、彼らは自らの存在を問い始める。
彼女を手に入れたはずなのに、なおも渇望するのはなぜか。
玲奈の白い肌に映る満月の光は、夜の帳に溶け込むように儚く、それでいて確かな現実を突きつけていた。
彼女が動かぬままでも、彼女の存在そのものが、彼らを飲み込み続けている。
男たちは、己が玲奈を支配したと思い込んでいた。
しかし、彼らの心の奥底にあるのは、支配ではなく、畏怖だった。
美は、決して征服されるものではない。
玲奈の存在が、それを証明していた。
――何かがおかしい。
玄蛇は男たち視線の変化に気がついた
彼らはまだ玲奈を見ている。
それはこれまでの飢えた獣の目ではなかった。
熱を孕んだ、崇拝の目。
玄蛇の眉がわずかに動く。
「……何だ?」
玄蛇は目を細めた。
「こいつら、玲奈を……崇めているのか?」
驚きが、胸の奥に広がった。
玲奈は何も語らない。
だが、彼女の存在そのものが、男たちの心を支配し始めている。
玄蛇は、初めてこの状況にわずかに困惑した。
満月の夜の第二夜の宴はこうして終った。
満月の夜の宴
円台の上で、玲奈は死んだように横たわっていた。
口からはよだれが垂れ、目は虚ろ。
全身は赤く腫れ上がり、無数の歯型や爪痕が痛々しかった。
それでも男たちはまだ飽き足らず、次々に玲奈の体へと群がった。
三十数人の男たちは、いまだ皆一様に狂気に染まっていた。
獣のような目で玲奈の肉体を貪り、貪欲な舌で彼女の肌を這わせた。
男たちの荒い息遣いだけが、静まり返った宴会場に響き渡る。
男たちは玲奈の体から、最後の力を絞り取ろうとしていた。
彼女の体は、まるで使い古された人形のように、男たちの欲望のままに弄ばれる。玲奈の意識は、とうに遠い彼方へと飛び去っていた。
満月の夜の宴は、こうして終わりを告げた。男たちもまた、満足し疲れ果てていた。玲奈は一人、円台の上に残された。彼女の体は、もう何も感じなくなっていた。
玲奈は死んだように横たわっていた。
しかし、彼女の魂は、男たちの魂を捉えて離さなかった。
彼女の美しさは、まるで見えない鎖のように彼らを縛りつけ、逃れられぬ幻想へと引きずり込んでいった。
男たちは疲労と陶酔の狭間で、なおも彼女を見つめ続ける。
目の焦点が合わぬまま、玲奈の横たわる姿に縋りつくようにして、彼らは自らの存在を問い始める。
彼女を手に入れたはずなのに、なおも渇望するのはなぜか。
玲奈の白い肌に映る満月の光は、夜の帳に溶け込むように儚く、それでいて確かな現実を突きつけていた。
彼女が動かぬままでも、彼女の存在そのものが、彼らを飲み込み続けている。
男たちは、己が玲奈を支配したと思い込んでいた。
しかし、彼らの心の奥底にあるのは、支配ではなく、畏怖だった。
美は、決して征服されるものではない。
玲奈の存在が、それを証明していた。
――何かがおかしい。
玄蛇は男たち視線の変化に気がついた
彼らはまだ玲奈を見ている。
それはこれまでの飢えた獣の目ではなかった。
熱を孕んだ、崇拝の目。
玄蛇の眉がわずかに動く。
「……何だ?」
玄蛇は目を細めた。
「こいつら、玲奈を……崇めているのか?」
驚きが、胸の奥に広がった。
玲奈は何も語らない。
だが、彼女の存在そのものが、男たちの心を支配し始めている。
玄蛇は、初めてこの状況にわずかに困惑した。
満月の夜の第二夜の宴はこうして終った。
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