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夜に咲く名前のない恋人達
第3章 ルカと歩むアイドル道
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ルカは今にも泣き出しそうなぷりんを見下ろしていた。
呆れたようにため息をつき、しゃがみこんでいる彼女の前に屈む。
「ったく、こんなとこで落ち込んでるアイドルがいるかよ。ほら、立て」
そう言って、強引に手を引かれる。
「だ、だって……全然ビラを受け取ってもらえないし、捨てられちゃうし……私、やっぱり心結ちゃんみたいになれないよ……」
「ん?心結ってふらっと#らぶだったっけ?一時期、よくSNSで見たよ」
「私も同じふらっと#らぶの黄色なんです」
「へぇ……まぁ心結ってのがどれ程のものか知らないけど、お前はお前だろ?」
「でも……私……」
心結ちゃんみたいに可愛くない。
心結ちゃんみたいに元気じゃない。
だからビラ配りでも、足を止めてもらえない。
そう思っているというオーラが出ているぷりんに、ルカが言った。
「さっき見てたけどさ、ただ手元にビラ差し出してるだけじゃん。そんなの早く配り終えたいバイトのティッシュ配りと一緒だろ?」
「じゃあ、どうすればいいの……?」
「教えてやるよ。俺、アイドルじゃねえけど、こういうのは人間の心理を利用すればいいんだ」
そう言って、ルカはぷりんが持っていたビラを数枚取り、さっと眺めた。
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