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第3章 ルカと歩むアイドル道

ビラから得られる情報は、メンバーの写真と名前、今月のライブ予定、ホームページのQRコードくらい。

「よっし。まずはビラを手元に差し出すんじゃなくて、こうしてわざとちょっと遠めの位置で渡す」

ルカが試しにぷりんへビラを渡そうとする。

少し寄っていって、手を伸ばさないと取れない距離。

「こうすると、ビラを貰いたかったら、近寄るしかなくなる。せっかくアイドルの衣装を着てるんだから、何を配ってるか？だいたいわかるだろ？」

「でも……私は他のアイドルみたいに可愛くないし、人が寄ってこないかも……」

グズグス言っているぷりんを、ルカが笑い飛ばした。

「他のアイドルとかわかんないけど、充分可愛いだろ？」

そう言ったルカは、ぷりんの前にスッと立ち、覗き込むように見つめてきた。

ルカとの顔の距離が近くて、ぷりんはすぐに赤く頬を染めてしまう。

「ず、ずるい……」

「何が？」

「そうやって見つめられると、可愛いって思っちゃう……」

「そういう事。今みたいに見つめられたら、ちょっと意識するだろ？人に好きになってもらうってのは、自分も好きって頭の中でイメージしてなきゃダメなんだよ？」

「そうやって、私の事も騙そうとしたの……？」

「ジャージで店に来る奴に何も期待してねぇよ。
グダグダ言ってないで、次行くぞ？
ビラを渡せたら、目の前に立って、今みたいに目を見つめる。相手は照れても、お前は目を反らすなよ？」

一生懸命ビラ配りの練習をしてくれるルカを見て、心が温かくなるぷりん。

お金もない客にもならない私に……

なんで優しくしてくれるんだろう……？