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微熱に疼く慕情
第3章 【甘く麻痺していく心情】





(好きだよ、一華……片手間で良いから俺の相手もしてよ)


「その片手間が空かないんだけど?」


(大丈夫、一華、要領良いもん)


「それ、褒め言葉?」



思わず笑ってしまって大智もホッたした顔
そんな顔させたい訳じゃなかったのにな……
馬鹿な私は、また引き寄せちゃう……



「早く焦げた卵焼き食べなよ」


(う、うん、味は美味しいんだからな?マジで)


「そっか、私は食べてないからわかんないけど」


(だから今度、食べてよ、作るから)


「え〜ヤダ」


(何でだよ!めちゃ上達してんだぞ?いや、焦げてるけど!次は焦がさないし!あ、そうだ、ペペロンチーノとかどう?簡単そうじゃない?次それにしよ)


「どうでも良いけど、また拘束されんの?映画とか観ながら晩酌したいんだけど私…」


(じゃ、そっち行って良いの?映画観てて良いから、俺勝手に作るし)


「ダーメ、もうこっちに来るのナシ、出禁だから」


(えー!じゃあ来てよ)


「うーん、やっぱりテレビ電話で」


(えぇ、何だよ〜!まぁ良いや、時々付き合ってね?俺、今この時間が生き甲斐なの)


「また大袈裟な事言って……」


(本当は一華と一緒にキッチンに立って料理とかしたいけど、もうあまり我儘言わない、頑張ってるとこ見てくれるだけで良い)


「数分前までめちゃくちゃ我儘だったけどね?捨てないで〜って」


(そこは譲れないでしょ)


「私が彼氏持ちだって事、たった今から肝に銘じててよね?もうただの、友達だよ?」


(え、元カレから友達に昇格したの?)


「え、それ昇格って言うの?」


(俺の中では……やったぁ!)



男女の友情なんて絶対ないって思ってる自分から出た言葉とは信じられない
どこまで誤魔化して生きていくんだろうね、私は……






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