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微熱に疼く慕情
第9章 【歪んだ世界でも凛として…】

カフェでの待ち合わせ
時間通りに来ても先に待ってくれている彼
周りに居た女性客に声を掛けられてすっごくアタフタしていて面白い
慣れていないの丸わかり
あちゃ、マスクして顔隠しちゃった
格好良いの、自覚していないのも初々しいね
私の姿を見つけて遠慮がちに立って手を振る
「ごめんね、待った?」
「いえ、全然」
頼んでたコーヒ、もう終わりかけだけど?
いつから待ってたんだろう
時間前行動は職場の名残かな?
「久しぶりだね」
「はい、元気そうで良かったです」
籠もるような太い声もあまり目が合わないところも懐かしい
黒髪マッシュヘアも健在で嬉しい
退院してからようやく来たメッセージ
ずっと送るの迷ってたのかなって思うと可愛いな
(僕の事覚えてますか?)って来たから笑っちゃった
たくさん考えて打っては消して、腹を括って送ってきた感じ
スマホのメッセージ画面を見せて
「お母さんみたいなメッセージ連続で送ってくるから、もう会って話した方が早いかなって」とイジってみせる
黒いマスクしててもわかるくらい真っ赤な顔
だって(ご飯ちゃんと食べてますか?)とか
(今日は何を食べましたか?)とか
おすすめの献立とか急に送ってきたりして
「ご、ごめんなさい……何送って良いかよくわかんなくて」
「ううん、凄く為になったし一生懸命な旺志郎くんが見れて嬉しかったよ」
「でも、迷惑でしたよね?すみません」
「全然、寧ろ、もっと教えて欲しいしメッセージ来た事が凄く嬉しかった」
その赤面癖、こっちにも移っちゃいそうだよ
笑うと目が優しくなる
普段はキリッとした目だからギャップが凄い
堺 旺志郎くん
私が入院した時に担当してくれた看護師の一人だった
退院する前に連絡先渡したまま、2カ月を過ぎる頃にようやく連絡が来て、こうして外で会う事になったんだ

