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微熱に疼く慕情
第1章 【渇いた心】
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「何で泣くのよ……」
あれ……私の知ってる大智はもっと堂々としてて、こんなすぐ泣くような人間じゃなかった
泣き真似とかいうレベルじゃない
張り詰めてた糸がプツッと切れて咽び泣くような感じ
もう、始発が動き出したくらいの時間帯だろう
早く帰りたいのに、私の腕は、何故か大智を抱き締めている
ほら、やっぱり……抱えきれないほど何かを抱えてて、時間や何かに追われて自分の事は最後の最後まで後回しにしてたんだろうね
仕事とかプライベートの事とかはわかってあげれないけど、もしも今、大智を支えてくれるものが何も無い状態だとしたら……
ううん、自分は違う
もう違う道を歩いてるんだもん
戻れないし戻らないよ
支えてあげる事は………違うでしょ?
別れた相手に……サヨナラした相手に何の為に?
「一華お願い……ずっとじゃなくて良いから今は離れないで」
私を抱き締める腕が僅かに震えてる
これを無理だと振り払ったら……
大智はもう這い上がれなくなるの……?
そんなの、言いがかりだよね……
上手い口実に決まってる……
優しさの意味を履き違えると取り返しのつかない事になるんだって……
頭ではわかっているのに………
私は何で、自ら足を踏み入れちゃうの………
「とりあえず日曜日、掃除と作り置き……しに来るから」
何度もブレーキ踏んでるのに思った方向に止まれない
こっちを見る大智と目は合わせられない
「でも勘違いしないで、今、見捨てると……大智が間違った方向に行きそうだから」
「ありがとう……どんな形でも嬉しい」
「じゃあ、行くね?あ、今日仕事は?」
「休み貰ってる」
「そっか、ゆっくり休みなよ」
「一華の事だけ考えてる」
「ねぇ、キモい」
「もう今は他の事考えたくないから」
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