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微熱に疼く慕情
第2章 【動き出す熱情】
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社外で待ち合わせしてタクシーに乗り込む
予定していた金曜日
華金である今日、山岸先輩と食事をする
王道の夜景の見えるレストランでコース料理
赤ワインで乾杯
会話も尽きる事なくよく振ってくれる
「本当に夢みたい」って言われてはにかむ
今日は、コートの下は細身のワンピース
髪は下ろして巻いてる、アフター5用のメイク
裸眼で真っ直ぐ見つめるだけで5秒も保たないね
照れて逸らすの見てて面白い
呼び名は、先輩だと雰囲気に合わないかなと思い
「山岸さん」と呼んだ
向こうもずっと「橘さん」だから
良い意味で仕事感が抜けきれずブレーキがかかってる
デザートまで嗜んだら、次はダーツバーに連れて行ってもらった
マイダーツまで持っててびっくりしたけど本当に上手だった
真後ろに立って投げ方を教わる
顔も近いよ
良いね、ほろ酔い気分でテンション上がる
良い位置に刺さって盛り上がる
大人な余裕感が心地良いとまで思っていたのに……
「帰したくない」ってやっぱり言われてしまった
さぁ、どうする?
目の前に餌吊り下げて、我慢させる?
それとも許しちゃう?
“待て”させないの?
「帰して…ください」
「帰りたいくらい今日は楽しくなかったかな…」
「そうじゃないです、時間忘れちゃうくらい楽しんでました、でも……そういうのはもっと関係築いてからじゃないですか?」
「ごめん、急ぎ過ぎた……でも、橘さんを誰にも取られたくなくて……最近、本当に、色んな人から誘い受けてるでしょ?見てるだけじゃダメだって焦っちゃって……格好悪いね、ごめん」
「私、全部断ってますよ?それに……恋愛とか向いてないんです、今は誰ともお付き合いするつもりはありません、もし、そういう関係をお求めなら…」
「橘さんが良い」
「え…?」
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